「へぇ。何でそう思うの?」

「今日の対談の後、芝波社長は少しも秘書の方の様子を気にしてらっしゃいませんでした。秘書の方は、対談中は少し動揺してらしたようですが、表情が何というか…。とりあえず、対談の内容が内容だったので、 もしお互い恋人ならもっと違った反応があったんじゃないかなと思っただけです」

そんな早瀬の言葉には説得力があった。
早瀬は人の事をいつもよく見ている。

…もし、早瀬の言う事が本当なら。

昔と比べたら、彼はもう絶対に敵わない強力な相手ではない。

というかお互いがお互いをどう思っているのか。
ただ単に幼馴染みでもある仕事のパートナーとして今でも一緒にいるのか。
それとも何か特別な感情があるのか。


それがもしも後者であるのなら。
それでいて付き合っていないとするなら。

幼馴染みという関係は、時には煩わしいものなのかもしれないなと心の中で呟いた。