(お互いに変わったなぁ。当たり前だけど)

運転手に事務所まで車で送ってもらいながら、窓の外を眺めて羽水翔はそう心の中で呟いた。

「なぁ早瀬、俺今日やっぱり芝波さんの事困らせてた?」

後部座席に座る秘書の早瀬にそう尋ねると、早瀬は一拍おいてから返した。

「そりゃあそうですよ。ただでさえ緊張されてるご様子だったのに、突然羽水社長が突飛な事を言い出されるから」

「ははっ、だよなぁ」


確かに困らせてしまっていた。


───最初対談の話を貰った時、相手は芝波プロの社長だって聞いて、もしかしたらとは思ったんですよ。芝波なんてありふれた苗字じゃないから。

そう言った言葉は嘘じゃない。
対談の話を貰い、調べるまでは本当に気がつかなかった。
ただ、事務所のホームページにのった写真を見て直ぐに確信した。小学校の頃に好きだったクラスメートの女の子だと。