「さすが、有名プロデューサーさんのお家って感じがします」
「ははっ、
芝波プロダクションの社長様が何を」
そう言って砂川さんが小さく笑う。
芝波プロダクションの社長様…。
もう社長に就任してから少し経つが、未だにその自覚が足りていないのかもしれない。
でも、私の場合はただ父の仕事の跡を継いだというだけで、社長の椅子は自分で掴み取ったものではなく、最初から用意されていたものだ。
プロデューサーという職種には継ぐ継がないとかそういう概念は無いわけで。
そう考えると改めて砂川さんはすごい人なんだなぁと実感する。
「そういう芝波さんは、家事とか全部一人でやってるの?」
「いえ、最近は…」
京。そう口に出しそうになって言い直す。
「最近は、秘書が全部やってくれてて」
「えっ、黒瀬君が?」
砂川さんが驚いたように小さく目を見張る。
驚かれても仕方がない。上司の家事炊事なんて、普通に考えて秘書の仕事の業務外だ。
やっぱり京を働かせすぎるのはよくないし、私も砂川さんみたいにシェフや家政婦を雇った方がいいかな。でも家の中にあんまり親しくない人がいるっていうのも落ち着かないし…と考え込む。

