「ううん、京がこれからもずっと作ってくれればいいから、それでいい」

きっとまたため息をつかれるだろうと思いながらそう言ったが、意外にもため息をつかれる事は無く、かわりに少しだけ京の表情が険しくなったような気がした。

でも、ずっとって訳にはいかない事はちゃんとわかっている。京もいつかは誰かと結婚するだろうし。

京は一見…というか普通に無愛想だけど、料理も出来るし面倒見も良いし見た目も良い。そんな京は、学生時代から京は女の子に人気があった。

…そういえば京は今、付き合ってる人とかいるんだろうか。

京とはずっと一緒にいるけれど、お互いにあまりそんな話はずっとしてこなかった。

「ねぇ京。
京って今付き合ってる人とかいないの?」

そう尋ねると、突然何だと言って京が顔をしかめる。

「いたらこんな事してないだろ」

そう言われてハッとする。
確かに私は仕事中でも秘書としての京にお世話になり、京が自主的にやってくれているものとはいえ私が断らず甘えてしまっていることには変わりなく、仕事が終わった後のプライベートもこうして拘束しているのだ。

京に恋人が出来ないのは、
上司である私のせい…?