羽水社長からの伝言を伝え、涙を流し続ける早瀬ちゃんの頭を撫で落ち着かせた後、私は芝波プロダクションを後にする早瀬ちゃんの事を見送った。








──それなのに私は告白まがいの事をして、困らせて…。

そして私の頭からは、さっきの早瀬ちゃんの一言がずっと離れずにいる。

(え…今まで全然気がつなかったけど、早瀬ちゃん、そうだったの…!?)

まさかあの場で、あの雰囲気の中で、羽水社長の事が好きだったのかと問い詰める事が出来る筈もなく、ただ動揺を隠すのに必死だった。

(そっか、そうだったのか…)

羽水社長と早瀬ちゃんがお互いの事を大切に思っている事はわかっていた。それを恋愛に結びつけて見たことは無かったけれど…。

羽水社長が早瀬ちゃんよりも幾分か歳が上な事もあってか、羽水社長は早瀬ちゃんの事を妹のように大切に思っているものだと思っていたし、まるで保護者のように早瀬ちゃんの事を気遣っているような印象を受けていた。