「……んー…」


自分で作ったお味噌汁を口に運んで、芝波桜は顔をしかめた。

京が作ってくれたお味噌汁の味はもっとこうだと試行錯誤した末の、これが一体何作目の味噌汁かはもうわからない。

それでも、ほんの少しずつだか、それでもちょっとは進歩している気がする。



──でも、京ってほんと昔から料理上手だよね

──別に普通だろ。桜がしなさすぎるだけだ

──教えようか?料理

──ううん、京がこれからもずっと作ってくれればいいから、それでいい。



そんな会話をしたあの日を思えば。

料理にとりかかるようになっただけ、十分な進歩だと言えるだろう。