「そういえば、unisonの千葉君はどうなんの?彼、流れ弾受けてるよね」


羽水社長が車の助手席のドアを開けながら、そういえばという風にそう尋ねる。


羽水社長の言葉通り、千葉隼人は一部から倉掛宗次郎のとばっちりを受けている状態だ。

事件により明らかとなった倉掛宗次郎が幼い頃に義父から性的虐待を受けていたという事実は世間には刺激が強かったらしい。

また倉掛宗次郎が同性愛者であったという事実も相まって、unisonの二人も"そういう"間柄だったのではないかとする声や、あまつさえ千葉隼人も倉掛宗次郎の犯行も黙認していたのではないか、共犯者なのではないか…等、そういった根も葉もない噂が出回っている。


「どうして…悪意のある噂ほど、沢山出回ってしまうんでしょうか。千葉さんは、今後芸能活動を続けられるかも、まだよくわかりません」


そう呟いて、促されるまま私は助手席に腰を下ろした。

「そうか。…それにしてもまぁ、倉掛はいろんな人の人生を狂わせるな」