京が、膝から崩れ落ちるようにその場に倒れ込む。

「嫌っ……京!京!京…っ!」

手足を縛られていて直ぐには駆け寄れなかったが、地を張って力ずくで京に近づき体を寄せた。

頭部を撃たれた京は、撃たれた所を右手で押さえながら血を吐く。

「京…京…!」

涙をボロボロと流してただ名前を呼ぶ事しか出来ない私に、京が虚な目で優しく微笑む。

私に何かあった時、いつも京は私を安心させてくれるようにこういう微笑み方をする。

そして──…撃たれているのに、その体を起こし、私を倉掛君から庇うように回り込み、倉掛君を睨みつけた。

 

「…桜に、手を出さないでくれ」


「……っ」



こんな…自分が、撃たれている時にまで、
なんでそんな…私なんか。私なんかの為に、京は。


手を縛られ、京に手さえ伸ばしてあげられない自分がもどかしくて仕方がなかった。

ただただ無力に涙を流しながら、今日に頭と身体を寄せた。