「なぜ、会議に動物が紛れているんですか」

 朝から不安定な天候により雷鳴が轟く中、会議の間にてイアンが眉を顰めた。

「そいつはただの動物ではなく俺の相棒だ。女王陛下に会いたいってきかなくてね。仕方ないから連れてきたんですよ。なぁ、フィーユ」

「キュイ」

 主人の言葉を理解しているのか、メアリの膝上で寛ぐフィーユ。

「ふふ、昨日は迷子になって大変だったわね、フィーユ。また会えて嬉しいわ」

 柔らかな毛を整えるようにメアリが撫でると、フィーユは気持ちよさそうに目を閉じる。

「賢くておとなしい子だし、邪魔にはならないと思います。このまま始めてしまっても問題ないですか?」

 愛しみ眦を下げて提案するメアリに、大臣たちが特に問題ないことをアイコンタクトや頷くことで伝えあったところで、イアンは「わかりました」と目を瞑った。

「しかし、何かあれば直ちに退出させていただきたいのですが」

「心得ました、イアン宰相殿」

 ライルが椅子に座ったまま小さくお辞儀をすると、いよいよ会議がスタートした。