翌日──。

 ジョシュアの手厚過ぎる看病を受けてすっかり回復したメアリは、ユリウスを伴い執務室の椅子に座っていた。

 不在の間に少々溜まってしまった仕事を粛々とこなしていると、ノックの音が響く。
 ユリウスが扉を開けた先には、イアンとオースティンが立っていた。

「陛下、此度の騒動について、いくつかご報告に上がりました」

 イアンが頭を垂れると、オースティンも続いて頭を下げた。

「イアン様、オースティン様、忙しい中ありがとうございます」

 筆を置き、立ち上がって迎えたメアリは、ひとつお辞儀をしてからまた座った。

 イアンが、持参した書類に視線を落とす。

「まず、アクアルーナ側に死者は一名のみ。重傷者数人は、いずれも命に別状はなしとのことです。こちらがその報告書になります」

 イアンから報告書を受け取ったメアリは、死亡者と重傷者の名前が記載された欄に目を通す。
 良く知るジョシュアの筆跡で書かれた死亡者リストにランベルトの名を見つけて、顔を上げた。

「ランベルト様のこと、ヴェロニカ様や奥様には……」

 濁して問いかけると、オースティンが口を開く。

「昨夜のうちに事のあらましは伝えさせました。今は沙汰を待たせている状況です」

 ランベルトが暗殺を企んでいたことは、昨夜のうちにメアリから説明していた。
 ダリオに唆され行動に移し、用済みと判断され殺されたことも。