ベッドに腰かけたユリウスとメアリは見つめ合う。

「だけど、ユリウスや皆がその運命から救い出してくれた。私が生きてここに戻れたのは皆とあなたのおかげだわ。だから、もう謝らないで」

「メアリ……」

 ユリウスは、メアリの願いに小さく頷いた。

「では、どうか君も謝らないでくれ。女王であれば命を狙われることもある。地位が高ければ高いほど、過酷な運命を背負うものだ。だが、君はただ大人しく運命に流されたわけじゃないだろう?」

 話しながら、ユリウスの指がメアリの首元に飾られたペンダントに触れる。

「俺を信じ、唯一無二のペンダントを印として残した。攫われる際も抵抗したんだろう? それに、騎士団が救出に向かっていた時も、君は時間を稼いでくれていたはずだ」

 メアリは驚きに瞳を揺らめかせた。
 窮地の中、ひとり抗い、もがいていたことを汲み取ってくれていたからだ。
 誰よりも愛するその人が。

「君の努力が君を生かした。機転をきかせ、俺たちを導いてくれた。運命に負けず、道を切り開いたのは君自身だ。いつだって真っ直ぐな君の騎士であることを、俺は誇りに思うよ」

「ユリウス……ありがとう。私も、運命からだけでなく心まで救ってくれるあなたが私の騎士でいてくれることを誇りに思うわ」

 讃え合い、額を合わせる。

「君が無事で本当に良かった」

 ユリウスがメアリの頬を愛おしそうに撫でて囁く。
 そうして、どちらからともなく唇を合わせ、メアリは愛しい者の腕の中に戻れた喜びを噛みしめた。