ランベルトは教団と口にしていた。
 イアンからの報告にも、ランベルトの屋敷に神官が訪ねてきているという話があった。
 宗教組織が絡んでいる気配を感じながら、メアリは口を開く。

「女神様の元に送るって、埋葬のこと?」

「そ、正解。あなたに力を授けた女神様の元に魂をお還しするんだ。身体を焼いて穢れを落としてね」

 平時は土葬が主であるグラリア大陸において火葬を当然のように語るダリオに、メアリはライルから聞いた話を思い出した。
 建物だけでなく、自身の体をも燃やした誘拐犯の一味らしき者のことを。

「……自ら、命を絶つときも?」

 尋ねると、ダリオが首を傾げる。

「あれ? うちの信徒が衛兵になって城で暴れたのは見てないはずだよね? ああ、巫女様の力で視たってことかな」

 ダリオは勝手に納得すると、すごいねとメアリの能力を褒めた。

「あれは別の事情もあって火を着けてるんだけど、最終的には女神様の元に還れるから一石二鳥なんだ」

「別の事情?」

「知りたかったらあの方に逢って聞くといいよ。僕は勝手に話せないし」

 先ほどから何度も出てくる〝あの方〟という存在。
 様子からして心酔しているのが伺えるが、捕らえた目的が見えてこない。
 ランベルトは暗殺するつもりだったようだが、ダリオはメアリを救世主だと言っていた。