瞼の向こう側があまりに眩しくて、目を微かに開く。

茶色のテカテカした床に、朝特有の黄色味を帯びた光が反射し始めていた。

規則正しい揺れに、僕の意識はゆるゆると持っていかれかけていたらしい。

崩れかかっていた体制を元に戻し、座席のフカフカとした感触を背中に感じた。

視線を落とすと、手元で光っているディスプレイは、さっき観ていた動画とは、違う動画の中盤ようだった。

まだ、どこか眠り心地の僕だったが、ふと目線を移した先に、最近よく喋る君が居て、一気に心臓が掴まれたような感覚に陥った。

その余韻で、ドクドクドクと変な音を立てている身体に気を取られながらも、君を見つめる。

君も、僕には気がつかずに目を閉じて、揺られていた。

折れてしまいそうな細い首筋、ほどよい白い腕、艶やかな長い黒髪も、背後から差し込んでいる眩しい光のせいで、普段より色素が薄いかのように見える。

僕はその姿を、どこか異次元の精霊なのではないかとすら錯覚してしまう。

自然と両方の口角が持ち上がるのが分かった。

未だ手元で動いていたスマホの電源を落とす。

今はただ、その姿を目に焼き付けたいという衝動に駆られてどうしようもなくなってしまったのだ。

自分でも本当に単純だと思う。



日の昇る中に、片思いの確信を見つけてしまった。