恋味甘い【短編集】

「今日は、どこ行くの?」


「んーまぁ、黙ってついてこい。」


俊哉の後ろを一歩遅れで、ついてゆく。



「よぉし。着いた!」

「公園?」


「おぅ。」



あたしは頭を傾げた。


「まぁ、来いよ」

「うん」


言われるままについてゆく。

マンホール?


俊哉は、公園の中にある、(丸い穴が幾つもあいている)マンホールに入れと言うのだ。


「俊哉っ無理だよ。入んないって!」


「俺が入いれて、奈々が入いれない訳ねぇだろ!」



―っ

そう言われるとちょっと悔しいから、無理やりでも入った。



「奈々見てみ。」

「ん?」


目線の方を見ると、そこの壁には、無数の相合い傘が書かれている。



「すごい…」


「だろ!まぁ、ここはいわゆる、おまじないスポットだ。」


照れながら笑う俊哉。


―ドキン―