震える足取りで、 血を流し、横たわる敬一のもとに行った。 私は何も言えなくて、 何もできなかった。 頭では、分かってるんだ… 救急車を呼んで、 今すぐ病院に行かなきゃって… そして、何よりも大事で 大好きなあなたの名前を、 敬一を 呼ばなきゃ…って…。 気がつくと、 敬一を跳ねた人は車から降りて来ていて、 やべーって顔をしながら、ケータイを手に、 救急車を呼んでいた…。 私はただ、 苦しそうに顔を歪める血まみれの敬一を見つめることしかできなかった…。