夕食後。


私が茶碗を洗い終えると、凜くんが超特急で持って見せつけて来た。



「さあやん、どぉ?」


「う~ん。何回見ても優劣つけられないよ。2人共1日独占権あげるから別日で独占日を設けるって感じじゃダメかな?」


「しゅうぽんどぉするぅ?」



悩むしゅうくん。


男の子はやっぱり戦いに勝つことを重視するから引き分けは許せないみたい。


すでに10回は演舞を見せられたけど、2人共声も出てるし、努力してるのも知っていたからどっちがいいかなんて決められない。


優柔不断でごめんなさい。



「よしっ、今回は引き分けにしよう。さーやちゃんに悩ませるのも可哀想だし」


「じゃあ独占権ゲットぉ。早速今週末使おうかなぁ」



独占権をゲットして満足したのか、ルンルン気分で階段を上っていく凜くん。


一方のしゅうくんは浮かない顔をしている。


「しゅうくん、どうしたの?」


「いや、ちょっとショックで。勝てる自信あったんだけどな。ま、凜が頑張ったのも分かるし、今回はしょうがないな」


「しゅうくんはどこに行きたい?私、しゅうくんと行けるの楽しみに......」



ふわっと私の体がしゅうくんの胸のなかに引き寄せられた。



「さーやちゃんを俺だけのものにしたい」


「しゅ、しゅ、しゅう...くん...」


「さーやちゃんと一緒ならどこでもいい。ずっと側にいられればそれでいい。いや、それがいい」



告白とも取れる言葉に私の心臓は激しく音を立てる。


もう少しこのままでいいかな。


なんか今...幸せだ。