「三三七拍子!よ~おっ!」



タタタン、タタタン、タタタンタン。


タタタン、タタタン、タタタンタン。



「赤井大地先輩!ありがとうございましたっ!」


「ましたっ!」


「いやいや、そこはありがとうございましたってちゃんと言わないと」


「ごっめぇん。しゅうぽん許してぇ」


「くっつくな。今日はここまで。明後日なんだからしっかりしろよ」


「わかったぁ」



もう明後日か。


こちらの2人は優劣つけがたいほどどちらもよく頑張ってる。


個々じゃなくて2人で頑張ってるというのが胸アツって感じ。



「さあやん早く麦茶を...」


「ごめんごめん。はいどうぞ」


「ぷはぁ。生き返るぅ」


「しゅうくんもお疲れ様」


「ありがとう」



まさかこんなに頑張ってくれるとは思ってなかったから、私は毎日嬉しくて心がほんわりあったかい。


私の一存で始まったプロジェクトがここまで人を成長させ、良い演舞になるなんて...。


これが感無量ってことなのかな。


まだその言葉は早い気がするけど。



「さあやんにも見てもらいたいなぁ」


「正義先輩に頼んで放送部の人に録ってもらうことになったから、さーやちゃんにも見せてあげられるよ」


「そうなんだね。楽しみにしてる」



一体どういう風に仕上がるのか今から楽しみ。



「ついにぼくらも決着がつくね」


「そうだね」


「絶対にぼくがさあやんを独り占めするぅ!」


「さあ、どうだろうね」



そうだ。


そうだった。


気を抜くと忘れそうになる。


それがなかったらここまで頑張っていなかったかもしれないのだからやはりそれは大事だ。



「さあやん、ぼくを選んでね」


「俺は懇願しないけど選んでくれることを祈ってる」



あぁ。


選ぶなんて無理だよ...。


後悔しながら当日を迎えることになったのだった。