「・・・・・・た、田中くん!!」



声を振り絞って、彼の名前を呼ぶ。

それさえ恥ずかしくてたまらないけど、とりあえず、声を出せてよかった。

ただ、なにかを言いかけた田中くんの言葉にかぶすように、言ってしまったから、田中くんが息を飲んで、眉を下げる。



「どうしたの?やっぱり、告白してきた男と仲良くなんてできない?」



緊張でカチコチに固まった体を慣らしながら、話す。

そうでもしないと、また、だんまりになってしまう。



「そ、そうじゃなくて」



大きく深呼吸をして、震える手を抑える。



「私、も、田中くんの、ことが、す、好きなの!」



い、言えた。言った!!



「・・・・・・え?」



当の本人は、顔が真っ赤になって、驚いている。

・・・・・・昨日と立場が逆転した。



「てっきり、俺のことはなんとも思ってないのかと。」



はずかしそうに首を掻く田中くん。
エネルギーを使い切った私は、首をとにかく横に振る。



「俺の、彼女になって、くれますか?」



その言葉に、私も暑くなる。


「は、はい」


「ふ、よかった」


嬉しそうに、顔を綻ばせる田中くんを見て、私も嬉しくなる。と、思ったのも束の間。

ぎゅっと、正面から抱き寄せられた。

心臓のバクバク音に掻き消されそうになりなるけれど、昨日よりも、安心感が押し寄せてきた。






・・・・・・次の日、クラスメイトから、かなり問いただされたのは言うまでもない。



END