「銀座で、何を買ってくれるの?」

遠慮がちに尋ねる沙織に、紀之は優しく笑って
 
「教えないよ。」と言った。

いつもと変わらない笑顔。いつもよりも温かい笑顔。

少し安心して、紀之を見つめる。
 


「いいよ。もうすぐわかるし。」

沙織が言うと、紀之は甘く見つめる。
 
「沙織は?それ、俺のでしょう。何?」

バッグと一緒に提げた、エルメスのショッピングバッグを指して笑う紀之。
 

「だーめ。教えない。」沙織も甘く笑う。

そんな話しで笑い合っていると、すぐ銀座に到着してしまう。