何も言わない紀之は、一生懸命、沙織を楽しませようとしてくれる。 遅めの昼食は、評判の店の天丼。 美味しいを連呼する沙織を、愛おし気に見つめてくれる。 仲見世で、二人は千住札を掘ってもらう。 “紀之”“沙織”と刻んだストラップ。 それぞれ携帯電話に付けて、微笑み合う。 「何か、高校生みたい。」照れて言う沙織。 「本当。大人なのにね。」と、紀之も恥ずかしそうに笑う。