今、紀之から愛を感じても ずっと付き合っていくことは できないだろう。

身分が違い過ぎるから。大企業の御曹司。

いずれ社長になる紀之と、結婚することは無理だろう。


沙織はただの銀行員だから。
 

でも、生まれたばかりの愛を、手放す気にはなれない。

今はとても幸せだから。


紀之の目から滲む、熱い愛に寄り添っていたい。


もう少し。


傷ついてもいいから。


沙織は、決心する。



何も望まないで、ただ紀之と過ごす時間を楽しもうと。