紀之がホテルに予約を入れている間に、沙織も母に連絡をした。

友達の家に泊まる、と言う電話。もう25才だから。

嘘に気付いても、母は何も言わない。

外泊は、初めてじゃないから。所在さえ連絡すれば。
 


「おうち、大丈夫?」優しく聞く紀之に、沙織はそっと頷き、
 
「もう大人だから。」と言う。


そっと頭を抱き寄せる優しい腕に、沙織も甘く寄り添う。
 

「そこのホテルだから。もう少ししてから入ろうね。」

紀之は、公園から見える、ラグジュアリーホテルを指さす。



驚いた顔の沙織をそっと抱き寄せて。