壮馬が生まれてから 私は 車の運転をするようになった。

毎日の生活で 私が車を使う事は あまり無いけれど。


でも大雨の日や 子供が病気の時に 車を使えると とても便利だった。
 


金曜の夜 二人の時間になると 智くんは乗用車のカタログを開いた。
 

「車?買うの?」驚いて 聞く。
 

「松濤には、2台駐車できるでしょう。麻有ちゃん用に コンパクトな車を買おうね。」

智くんは 笑顔で言う。
 


マンションには 1台分の駐車場しかないので 私も 智くんのワンボックスカーを運転していた。

たまにしか運転しないし 平日は 使っていない車なので 特に不便ではなかったけれど。
 

「ワゴンは 大きいから、乗り難いでしょう。麻有ちゃんに合う 可愛い車を買えば、もっと頻繁に乗れるからね。」

智くんは 優しく微笑んでくれる。
 


「ちょっと、贅沢な気もするけど。確かにワゴンは 大きくて 怖い時もあるの。子供達の安全を考えたら、まあ いいか。」


私も、ニコッと微笑んでしまう。
 

「レクサスは、納車まで 時間がかかるから 早めに決めないと。明日の午後、見に行こうよ。」

智くんは言う。
 
「深見さんの、打合せの後?嬉しいな。」

私が言うと、
 

「可愛い。」と智くんは、私を抱きしめてくれる。
 

お母様もお姉様も 自分の車を持っていた。

だから私が 智くんのワンボックスを運転することを とても心配していた。

私が コンパクトな車を買うと言ったら 喜んでくれるだろう。