一幕目から登場した絵里加。
豪華な衣装と舞台化粧に負けないオーラで、可憐で華やかに踊る。
大勢の中の踊りも ソロの部分も とても上手に踊れていた。
大きな拍手で 幕が下りる。
智くんと私はほっとして見つめ合う。
私は、急いで楽屋に行き、絵里加の着替えを手伝う。
「ママ、どうだった?」
背後から髪をセットする私に、絵里加は鏡越しに聞く。
「すごく良かったよ。この調子で、2幕も頑張ってね。」
絵里加は 自信に満ちた 誇らし気な表情をしていた。
私は、絵里加を強く抱きしめて 楽屋を出る。
「絵里ちゃん、度胸がいいわ。全然、緊張していないの。」
席に戻って、智くんに言う。
「俺の方が、心臓バクバクだったよ。」智くんも笑う。
「すごく良かったわ。相当、練習頑張ったのね。」
お姉様は、感心した顔で。
「絵里ちゃん、一番可愛いね。手足も長いし。」
お兄様の感想は、独特だった。
「もう。何見ているの。」とお姉様に笑われる。
お父様もお母様も 驚きと歓びで微笑んだまま 何も言わない。



