12月最初の土曜日が公演で 絵里加は、“くるみ割り人形”のクララを演じる。

子役とは言え準主役で とても名誉な事だった。


チケットが発売になると 割り当てでもないのに 何枚も購入してしまう。

そして、絵里加のお友達や 知り合いに配った。
 


当日は スクールの公演とは違い 母親のお手伝いがなかった。

私は、楽屋で絵里加の仕度に手を貸し 座席に戻る。
 

お父様、お母様。お兄様、お姉様。そして智くんと壮馬。

みんなで絵里加の晴舞台を見守る。

満員の観客、舞台背景や照明、音響。

当然ながら どれも本格的で スクールの公演とは 規模が違う。


幕が上がるまで、私は緊張で足が震えた。