帰りの飛行機も、子供達はアニメを見ながら眠って 長いフライトを乗り切った。

前日に買ったおもちゃを手に 広いシートで眠る二人に微笑む。
 

「絵里ちゃんも壮君も、とてもお利口ね。帰ったら たくさん褒めてあげないと。」

子供達に毛布を掛けながら、私が言う。
 
「そうだね。これなら、また連れて行けるね。」

智くんも、誇らし気に言う。


楽しい旅行だったから。

家族への感謝が より深くなって 絆が強くなった。


愛と幸せを 改めて確認できたから。


だから、また頑張れる。



家族の為に。
 



「着いたら、寒いのかな。体が、びっくりしちゃうね。」智くんが、笑う。
 
「お正月なのよね。なんか忘れていたわ。」私も、笑って答える。
 
「来月は、子供達をスキーに連れて行こうか。冬も体感しないとね。」智くんは言う。
 
「壮君も、できるかしら。」私が聞くと
 
「ソリ遊びだけでもね。たくさんの雪を、見せてあげたいから。」
 

軽井沢で育った私でも 初めてスキーをしたのは 小学校の高学年。

樹君くらいの頃だった。

小さな子供達に 色々な体験をさせてあげられる幸せに 心から感謝する。
 


スキー場には、上手に滑る子供もいる。

そういう子を見ると、どんな生活をしているのだろうと思った。

余裕があって、しかも親がスキーをできないと 子供を連れては来ないだろう。
 


妹が言う “エリートは遺伝する” って、そういう事なのか、と思う。

小さな頃から 色々な経験ができるから 選択肢が広がる。

豊かな程、たくさんの選択肢を 与えることができるから。
 

そして、それを活かすのは本人。

私達が与える経験を、健全に活かせる人になってほしいと思う。


それを教えるのは、親の責任。


うっすらと汗ばんだ、壮馬の髪を撫でながら、


私は、責任の重さに震えた。