手術したとは言え
まだあまり心臓に負担を掛けてはいけないと
医師に厳しく念押しされていたのに
感情に身を任せてしまった結果だ。


「セツナ!?」


ジンも異変に気付き
焦った様子で駆け寄り背中を摩ってくれたのに
アタシは…


「いいから…
 大丈夫…だから…。
 ごめん…放っておいてほしい。
 ジンの顔…今は見たくないの」


心配そうなジンに
『1人にしてほしい』と拒絶し
痛む心臓を抑えながら
部屋へと駆け込み鍵を掛けてしまった。


こんな時ですら助けを求めないのは
きっと、自分が思っている以上に
アイツを…彼氏を許せなかったからなんだと思う。
だから今は頼りたくなかった。


「…ッ」


電気も点けず
真っ暗な部屋で1人
溢れる涙を止める事が出来ずにいた。


好きな人のはずなのに
今は信じられなくて
アタシ達の関係性が壊れてしまいそうで怖くて
でもそれ以上に
あの部屋で2人に何があったのか
想像する方が、もっと怖い…。


自分の中の悪魔が囁く。



“ジンと泉海さんの仲を邪魔しているのは
もしかしたらアタシの方なのか“と――――