『今日の事は泉海さんから直接聞いたよ』って話したら
アイツはどんな反応をするんだろうか。

何て言うんだろ…

言い訳?謝罪?
それとも、何も喋らなかったりして…。


終始、あの人が泣きながら訴えた言葉が
余韻のように脳内に響いていて
それもそれで胸が締め付けられる。


もしアタシがジンを手放したら
2人が上手くいってしまうんじゃないかとか…。


「…帰ってきてしまった」


頭を冷やさないとって思いながら
時間稼ぎにゆっくり歩いてきたつもりだったのに
思った以上に部屋まではあっという間。


「はあぁ~…」


玄関の前で
深い溜め息に似た深呼吸で気持ちを静め
自分の中で何も解決出来ないまま
結局、中に入る事に。

静かにリビングを抜け
そーっとキッチンへ進んでいったが…


「遅かったな」


アタシを待っていたかのように
すぐにジンに気付かれてしまった。

どうやら夕飯作りの真っ最中だったよう。
料理の良い香りが鼻を掠める。


「う、うん…
 ちょっとイロイロあったから…さ」


泉海さんとの事を切り出せず
あやふやに答えた。