そんな中
いつの間にかエレベーターは動いていて―――・・・


「あれ?もしかして七星さん?」


再び扉が開いて出てきたのは
渦中の泉海さん本人だ。


「こ、こんばんは…」


『いつ来たの!?まさか瞬間移動!?』とか
そんな非現実的に考えてしまうほど
自分の世界に入り込んでいたんだろうか。

内心ドキドキしながらも
怪しまれないように平静を装うのが必死だ。


「こんなところで何しているの?
 部屋に行かないの?」


不思議そうに首を傾げる泉海さん。

そうなるよね。
マンションに到着しているにも関わらず
1人でボーっとしていればそう思うのは当たり前。


「えっと…
 ちょっと考え事を…アハハ」


言い訳の仕方が、まるで漫画みたい。
コレじゃ余計に怪しいか。


「あ、そうなんだね」


けれどニコッと微笑みながら答える彼女。


『そうなんだね』って…
受け入れちゃったよ。


「セツナさん
 今日はお仕事だったの?」

「はい、そうですが…」

「そう…
 じゃぁちゃんと言わないとだよね…」


何かピンと来たのか
1人で妙に納得している。