「マリカさんは
 大学のサークルの先輩なんだ」

「そうなんだ…」


ジンに間に入って紹介してもらったけれど
大学時代を知らないから
まずサークルに所属していた事に驚いた。


それに“先輩”って事は
アタシよりも年上…
20代にしか見えなかった。
…羨まし。


「卒業してからだから
 もう何年も会ってなかったよね。
 私も結婚して引っ越しちゃったし」


“結婚”
そのワードに一瞬
ジンが眉をしかめたのがわかった。

その言葉に反応したって事だよね?


「まぁ…離婚しちゃったんだけどね」


『それでイロイロあって、一人暮らしなのよ』と
彼女は苦笑いを浮かべながら話してくれた。

事情がありそうだし
深くは詮索するつもりもない。

それよりアタシが気になったのは
さっきまで喋っていたジンが
急に何も発しなくなった事だ。

どうしちゃったの…?


「じゃぁ…私そろそろ戻るね。
 まだ片付けが終わってなくて…。
 ジンくん、またゆっくり話しましょ」

「…そうですね」

「七星さんもまたね」

「あ、はい…」


どことなく悲し気に
自分の部屋へと戻っていく泉海さん。