しかし
さすがジン。


「客か?」


思った以上に来客の対応に時間が掛かってしまい
気になったらしく玄関に顔を出してくれたのだ。


「良かった。
 今―――」


『呼びに行こうと』と言い掛けて
遮られてしまった。


「ジン…くん?」


この女性に。


ん?この人、ジンを知ってる?


「もしかして…マリカさん…?」


ジンもまた
彼女の声に反応している。

2人が知り合いなのは間違いない。

こんな偶然の再会ってあるんだ…


「すごーい!
ココでジンくんに会えるなんてビックリよ。
久しぶりね、元気だった?」

「本当、久しぶり。
おかげさまで元気でしたよ。
 マリカさんは?」

「うん、私も全然元気。
 今日からお隣に引っ越してきたから宜しくね」

「こっちこそ」


目の前で親し気に会話が弾む2人。

空気を読んでアタシは退室した方がいいような…


「この方は
ジンくんの彼女…かな?」


離脱しようとしたのに
まさかの話を振られてしまった。


「は、初めまして…
 七星と申します…」


無視するワケにもいかず
小さく会釈をしながら
ひとまず当たり障りない挨拶を改めて一言。