「ん?」


返事をしながら顔を上げると
不意打ちで唇に優しくキスをされた。


ビックリして…
ドキドキしてる…


不整脈とは違う心地よい心臓の鼓動が
身体中に響いている。


心音が治まらないまま唇は離れ
熱を帯びた瞳で見つめられながら
頬に手を添えられる。


「どう…したの?」


こんなジン
初めて見た…


「付き合ってんのに
 理由なんて、いるか?」


そう言うと
アタシの髪を優しく掻き揚げ耳に掛けながら
また唇同士が触れた。

今度はさっきよりも長く甘美なキスーー


「じ…んッ」


僅かに離れた隙間から
思わず吐息交じりに名前を呼ぶが
すぐに唇を奪われる。


力が入らなくなっていき
持っていた数枚のお皿同士が
手の中で音を立て始める。


このままじゃ落としちゃう…


「待って…ジン
 割れちゃう…」

「…大丈夫だから」


そう言ってまた角度を変えてキスをしながら
アタシの手元なんて見ているのか見ていないのか
器用にお皿を取りシンクの上へと置く。


そういう問題じゃないはずなのに
こっちはもうそれどころじゃないーーー