続・隣人はクールな同期でした。


まだ具体的に何か行動を起こされたワケじゃない。

もちろん警戒はしている。
部署が違ったのが幸いだけど
極力どころか完全に避けているし。

それにしても彼の“ギャップ”が末恐ろしい。


入社したばかりで
すでに自部署・他部署関係なく
年上の女性から可愛がられているという情報を
ちらほら耳に入ってきている。
アタシも感じた“人懐こい子犬のような”可愛さが
存分に発揮されているんだろう。


そんな愛らしい犬が
実は凶暴な猛犬だなんて
誰が想像出来るのか…


「はぁ…」


今日は頭が痛いな…

入院中に溜まってた仕事を早く片付けたくて
張り切り過ぎたせいか…。


痛むこめかみを押さえつつ
お弁当を広げていると――


「セツナさんだぁ!」


呼ばれたその声に身が竦む。
怖気の震えるこの感じは
たぶん拒絶反応だ。


視界に入る見覚えのある松葉杖に
『うわぁ…出たぁ』と心底ガッカリしながら顔を上げると
怪我をしていない左手で方松葉
空いてる右手で食事のお盆を持つ風見くんの笑顔と目が合った。