いやいや。
積極的になられちゃ困るよ。
それでなくても浮気疑惑の前科があるんだから。


「お、おい…
 さすがに俺も気を付けてるぞ?
 ”あの人”の事もあったから
 相手に誤解を与えないように
 仕事以外で話も、近付きすらしてねぇし」」

「アタシ何も言ってないけど…」

「いや、思いっきり目が疑ってる」


無意識なアタシの睨みに
言いたい事を察したらしく
ジンは身の潔白を必死に釈明してきた。


「信じているから大丈夫だけど…」


その言葉に嘘偽りはないけれど…
ジンの(良い意味での)豹変には
不安と心配はあるよ。

無意識的に発してた”近付くなオーラ”
それが急にそのバリアを解除されちゃったら…

あー…怖い。



マイナス思考は案外実現するらしく
悪い運気しか寄せない―――


「副編集長ッ
 手直しした記事の編集が出来上がったので
 見てくださいッ」


入社間もない女性社員は
”頼れる年上”に
照れながら嬉しそうな笑顔で近付いたり…


「いえ、まずはこちらの企画の予算確認をッ」


ジンより年齢が上の女性達からは
”可愛い年下”と話すキッカケが欲しいのか。