そんな瞳で見ないでよ…

今日の風見くん
いつもの子犬みたいな可愛さがなくて
肉に飢えてる狼に見える。


こんなところで食われるんじゃなかろうか!?


さすがに真昼間の会社の会議室で
そんな事はないと思うけれど…
だけどそう考えたら
急に怖くなってしまい
アタシは数歩、ゆっくり後ずさりすると。


「俺が怖い?」


やっぱり勘づいた彼に聞かれ…


「えぇ、かなりね」


躊躇なくハッキリ答えた。

この前は
油断したせいでキスされてしまったから
更に注意しないと。
もうこんなイザコザで
ジンにイヤな思いさせたくないし
喧嘩も二度と御免だからね。


「はぁー…。
 大丈夫です。
 何もしませんよ」


溜め息を吐き
『お手上げです』と両手をあげながら
アタシから離れる風見くん。
複雑そうに困ったように
苦笑いを浮かべている。

意外すぎる予想外の返答に
こっちが拍子抜けだ。


「よっぽど幸せな時間を過ごしたんですね。
 そんなに色気放出…
 本当、副編集長が羨ましいや」


こんなところで名指しされると
非常に困るんですが。