カップを洗った後、ぼーっと天井を見つめている赤井先輩に声をかけた。



「赤井先輩は応援団なんですよね?どんな感じなんですか?」


「どんな感じって...う~ん...まあアッツアツの部活だな。皆が最高のパフォーマンスを出来るように俺らも全力で応援するんだ。運動部も文化部でも良い結果が出た時は良かったって思うし、ダメだった時は応援が足りなかったのかなって反省する」



すごく謙虚だな。


中学でも半年間の高校生活でも応援団なんてあんまり意識して見てなかったし、演舞も長いなぁなんて思いながら見てたような人だから、なんだか申し訳ない。



「俺さ、こー見えても昔は内気でネガティブで人見知りだったんだ。だけど中学の時に先輩が必死に応援している姿に憧れて入団したら180度世界が変わった。変わらないと思ってた性格も変えられた。大声だして誰かを全力で応援するなんて最高だなって感じたんだ。それからはもう応援団にどっぷりはまって今まで来た」


「そうなんですね」



赤井先輩が内気でネガティブで人見知り...。


この姿からは想像出来ない。



「でもそれももう終わる。あと1ヶ月で応援団は廃部だ」


「廃部...」


「そう。応援団は俺を含め5人しかいない。今の1年が1人も入らなくて3年が3人だから残るのは2人なんだ。部活は最低3人っていう決まりがあるから仕方がない。ここで歴史を終わらせるしかないんだ」



あと1人いれば...。


誰かやってくれる人いないのかな?



「最後の舞台は30日の生徒会総会。それまでに一応色んな人に声をかけてみるが人数が集まらなかったら終わりだ。俺は最後まで全力で応援する。それが俺の使命だと思う」