———週末。


先日百合ちゃんにお誘いを受けて、志緒がOKをしたことにより決まったモデルの撮影。


そこまでは綺麗な流れで、志緒がモデルをするならば、きっとブランドの売り上げも伸びるだろうと思う。


問題は、どうして私まで一緒にここに来て、私まで百合ちゃんのブランドの服に着替えさせられているのか。


流されるままにメイクが施され、パーティ用の派手な髪型にセットされ、露出度の高い服と履いたことのないくらい高いピンヒールのパンプスを身につける。
脚も心もガクガクなまま、気付けば撮影セットの真ん中にいて、カメラからバシャバシャ音が鳴っている。


それは勿論、私に向けられていて、ぎこちない表情で撮られ続けている。


それに加えて、OKしたはずの当人、志緒はカメラの奥で見学者と化していた。…いや、おかしくない?



「百合ちゃんんんん」



何度目か分からないくらいに彼女の名前を怯えたまま呼ぶ。


同じくブランドの服を着こなした百合ちゃんは美しいスタイルを露わにしながら、私に向かって親指を立てることしかしない。
私の話を聞いて!?


笑うこともできないままポーズを指定されて、立ったり座ったり花を持ったりグラスを持ったり。
最終的にティアラを頭に乗せられて顔を動かすことさえ禁じられた。