「湖宵、ごめんね?」

「うぅ…っ」

「ごめん…ごめん、泣かないで」

「もう怒ってない…?」



怒ってないよ、とその声がとても優しいものだったから安心して。


志緒は慌てながら背中を撫でてくれるけれど、止めたい涙が止まらない。



「私は、志緒に、褒めてほしかったの…」

「勉強してたこと?」

「うん…1人でも大丈夫だよって、見せたかった」

「千賀に教えてもらってたけど」

「う…やっぱり分からなくて…」



結局1人でできてはいないから、確かに志緒に教えてもらう状況から変化はない。


けれど、ずっと志緒に頼ってばかりではいけないと思ったのだ。


私が1人で何もできないことに対して志緒は気にしていない様子だったけれど、本当は忙しい彼に頼ってばかりだと、私のせいで無理をさせてしまう。もしかしたら既に無理をしていて、隠している可能性すらある。