志緒のお父さんは久住ホールディングスの社長。
建築がメインで、不動産、冠婚葬祭なども担っていて、私も久住ホールディングスで建てられたホテルには宿泊したことがあるし、従弟は結婚式でお世話になっていた。


こんな私でも知っている会社の規模の大きさに話を聞いた時は眩暈がした。


志緒のお母さんはお父さんの秘書。
志緒は次期後継者候補で、学校の勉強だけでなく、経営について学んだり、会社に足を運んで環境を知ったりしているらしい。


夢のような世界に連れて来られたと思っていたけれど、説明を受けて改めて、住む世界の違いを確認したようなものだ。


ますます、私はどうしてここで生活をするのか疑問になった。


それでも、志緒は優しくて。
志緒のお家に住み、新しい学校に通うことになった新生活は不安を大きく孕んでいたけれど、いつも隣に居てくれて、分からないことがあれば、尋ねるよりも前に教えてくれる。


スマートで、顔立ちも良くて、隙がない。一方で隙だらけの私は、志緒からどきどきをもらいすぎている毎日。


志緒は基本的にパーソナルスペースがほぼゼロに等しく、常に距離が近いのだ。