乱れたシーツの上に水滴が落ちる。
 自分でも気づかない内に頬からぽたぽたと涙が流れ落ちていた。

 こんなタイミングで泣いちゃ駄目だと思えば思うほどその意識に反して涙は止めどなく溢れてくる。

 涙で滲む視界で恭介を見やる。

 先程までの強い意志を感じさせる表情は崩れ落ち、胸が痛くなるほど所在なさげな辛そうな、――皮肉なことにアタシが1番恭介らしいと思う表情だった。


「あ…ぅ」


 洩れる嗚咽に恭介は何度もごめんと謝る。
 
 アタシ達2人きりの沈みきった保健室とは別世界のようにグラウンドで授業を受ける生徒達の歓声がガラス窓越しに聞こえた。