相手チームからサーブが放たれる。

 今度はうまくボレーをしてパスを繋いでいく。
 後衛にいたバレー部の柳瀬が走りこんでネット間近で飛び上った。
 素早いパス回しに相手チームは追いつけずブロックが半歩以上遅れている。

 これなら決まるな、と思った瞬間、コートの外で甲高い悲鳴と鈍い音が聞こえた。
 


 何事かと視線だけ悲鳴のした方へ向けるとそこには倒れるミチルの姿。

 ぐらりと不自然に倒れていく体を見て背中から汗が一気に吹き出す。
 どうしようもないぐらいの寒気に襲われ膝が震えた。

 だけど震えでその場に留まるよりも、…考えるよりも先にミチルの名前が口を突いて出ていて俺はミチルの元へ走り出していた。