戀のウタ

 過去の傷を無理矢理開かれその痛みに沈み込む千鶴を更に貶めるべく氷川が近づいた。
  
 氷川は露わになった傷跡を見下ろしニヤリと口端を上げる。
 肉欲というよりは侮蔑と好奇を混ぜたような瞳の色に千鶴は悪寒を覚えた。

 そしてその直感通り氷川の体が動く。
 ごつごつとした粗暴な印象の手が彼女の肌を這った。


「――やめ…」

「放っておくのは勿体無いな」


 女性としての危機を感じ震える体に氷川の欲望が更に加速する。

 氷川は恐れで強張り座ったままの千鶴の肩を押さえつけると露わになった肩口だけでなく太腿にも手を伸ばした。

 膝丈のタイトスカートのスリットから手が押し入り、まさぐり進む手は粗野な印象とは裏腹に機械のように精密に女としての部分を煽る。


 随分と人に晒して無い肌は本人の意思をよそに男の手に反応していく。

 その昂ぶりが歯痒く千鶴は唇を噛んだ。