「2人の問題かもしれないけど見てられないもん。2人の邪魔にならないように助けてあげたい」


 その言葉に「ああこの子はお節介でなく純粋に彼らの心配をしているんだな」と山内は思った。
 と、同時に今まで恭介のことはミチルに任せきりでそれが良いと主張していた身としてどう答えるか考える。
 逡巡している山内に彼女はポツリと呟いた。


「今までが大丈夫でも今度のも大丈夫とは限らないじゃん。何もしなくて後悔するの、嫌だから」

「…そう、だな。何も出来ないのが一番ヤだよなぁ」


 確かに里奈の言う通り後に悔いるような思いはしたくない。
 だから山内もその意見に賛同した。


 2人納得し合ったところでふわりと夜風が昇降口に吹き込む。
 外を見ればもう完全に夜と分類される色だった。

 部活や委員会活動の生徒達がグラウンドから教室から姿を現す。
 ほんの少し騒がしくなった校内の雑音をBGMにして2人は靴を履き替え昇降口を後にする。


 放課後という時間帯が家路を急ぐ時間帯に移り変わるのを見送って2人は『相談』をする為にファミレスへと繰り出した。