「君の父上も警察官だったね?十年前に亡くなられた白河昭文氏は」
「…父をご存じで」
「ああ、直接ではないにしろ私の部下にあたるからね。優秀な人物だった、殉職したと聞いた時には大変残念だと思った」
残念と言う言葉とは裏腹にどこか含みのある声に白河の心が波打つ。
父の死を悼んでいるようには見えない目の前の男に体中の血が激しく流動しているのを感じた。
だがここは堪えなければならない。やっと見つかった『為すべき事』へと糸口だから。
「父を話を出すということは、…10年前の事件と関わりがあるんですね?」
「『事件』とはまた物騒な。あれは悲しい『事故』だよ」
白河の押し殺した言葉とは対極に局長は明朗に答える。
確かに局長の言うように10年前の父の死は『事故』だった。
父は巡視中に担当区域内の研究所で起きた実験事故から所員の救出している最中に自身も巻き込まれ死亡した。
だがそれは記録上の事実であってその死には不審な点が多かった。
父の亡骸が家に帰るまでに時間がかかったこと、遺体に残っていた人命救助では付きそうにない傷があったこと、予想以上の死亡退職金の多さに母と一緒に戸惑った。
「…父をご存じで」
「ああ、直接ではないにしろ私の部下にあたるからね。優秀な人物だった、殉職したと聞いた時には大変残念だと思った」
残念と言う言葉とは裏腹にどこか含みのある声に白河の心が波打つ。
父の死を悼んでいるようには見えない目の前の男に体中の血が激しく流動しているのを感じた。
だがここは堪えなければならない。やっと見つかった『為すべき事』へと糸口だから。
「父を話を出すということは、…10年前の事件と関わりがあるんですね?」
「『事件』とはまた物騒な。あれは悲しい『事故』だよ」
白河の押し殺した言葉とは対極に局長は明朗に答える。
確かに局長の言うように10年前の父の死は『事故』だった。
父は巡視中に担当区域内の研究所で起きた実験事故から所員の救出している最中に自身も巻き込まれ死亡した。
だがそれは記録上の事実であってその死には不審な点が多かった。
父の亡骸が家に帰るまでに時間がかかったこと、遺体に残っていた人命救助では付きそうにない傷があったこと、予想以上の死亡退職金の多さに母と一緒に戸惑った。


