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 アタシが空手を始めたのは小学1年生の時でお父さんが師範をしている道場で空手を習い始めた。


 白河先輩はその道場の先輩。

 道場でも強くて、勿論道場以外でも強かった。


 強いだけじゃなく優しくて…。

 道場の中では兄貴分としてアタシ達後輩の面倒を見てくれた。


 一人っ子だったアタシは『お兄ちゃん』という存在に憧れがあって本当の妹のように接してくれる白河先輩が嬉しくて仕方なかった。


 中でも白河先輩が高校生3年生の時にインターハイで入賞して道場挙げてお祝いしたのははっきりと覚えてる。

 自分のことのように嬉しくて誇らしくて。


 でもその後、スポーツ推薦で県外の大学に進学が決まって道場に顔を出さなくなってからアタシの心はポッカリと穴があいたようだった。


 白河先輩がいた頃のように空手を楽しめず、打ち込めなくなって…辞めちゃった。



 思えばアタシにとって『白河先輩』は初恋で、初めての失恋だったのかもしれない。