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 なるべく恭介と必要以上に話さないよう気を使いながら学校を終える。


 昨日の晩、「幼馴染に戻ろう」って言ったもののアタシはその「幼馴染」という距離が思い出せなくなっていた。

 一緒に登校したものの話す言葉もうまく繋がらず空振り続きで朝からテンションは直滑降だった。

 別にテンションが下がるのは構わない。

 だけどあまりにも上手く振舞うことが出来なくてそれで恭介を傷つけちゃうんじゃないか…それが怖くてアタシはなるべく一緒に居ること、喋ることを遠ざけた。


 そうして距離を取っている内に放課後を迎える。

 幸いなことに今週は恭介の班が掃除当番。
 なので帰りの時間がずらせたことにアタシはひっそりと心の中で安堵の溜息を吐いた。

 アタシは恭介と顔を合わせないように手早く荷物をまとめると教室を出て廊下に出る。

 授業が終わった解放感からか廊下は賑やかかで生徒が多い。

 アタシは昇降口に向かう人波に乗り、靴を履き替えるとこれから部室に向かう友達に挨拶をしながら校門を出る。
 まるで放流された魚の群れのように校門から一斉に生徒が思い思いに散っていく。

 学校が終わってすぐの時間帯なので学校を出てすぐの大通りはアタシと同じく帰る人、これからバイトに行く人、遊びに行く人と人通りが多い。

 いつもと変わらない下校の風景にアタシは何だかホッとした。