目まぐるしく作業が進み一理が朝に来た時とは比べ物にならない程に様変わりしていった。


夕方になり、終わりを告げられるのかと思ってた、その時…


リョウがステージから降りて出て行ったのか?と…思いきや、三階席の最後尾の席に立って、叫んだ。



「誰か…ピアノ…音出してみてくれる?」



シーンとしたまま、誰も答えようとはしなかった。



すべてスタッフは、たいがい何やかや仕事を持っていた。



そんな時…結城さんと一理の目が合ってしまった。



スタッフ何人かも、一理を、お前が行けとばかりに見ていた。


(結城)
「松平!!お前行って、音出してこい!さぁ!早く!」


「はいっ!分かりました!」


素早く、ステージに上がり、ピアノの前に来た。



「……君っ、ドの音でも、ミの音でも、適当に出してみてくれるかな?」