「今度こそ、僕の事見てくれた?何か感じてくれた?」



「………」



「何?言葉に出来ない?ってくらい?それって…僕の事?それとも…演出?舞台装置?照明とか?」



「いえっ!ああっ、やあっ、ええっそんなんでなくて!ちゃんと聞いてましたから!ええっと…つまり…」


「君って…おかしな位…正直だよね!でも、いいやっ!ちゃんと俺の事見てくれてたからね!許す!しかし君は、面白い人だな。この次のコンサートも聴きに来てくれるともっと嬉しいかな?」



「はいっ!必ず来ます。じゃあ友達が待っているんで、失礼します。此処で見させて頂いて有難うございました。」


一礼をしてリョウの元を離れた。



リョウは、ただその後ろ姿を眺めていた。


(何て子なんだろうか…俺のファンじゃあないのは判るけど…まったく…今までに会った事無いよな!)



リョウの心の中に妙に残るコンサートとなった。



また一理にとっても忘れることの出来ない出会いとなった。