瞬きすらも、出来なかった。 ヴァイオリンの音色が綺麗なだけでなく、立ってそこに居るだけで目が何処をも見れないくらい、リョウの姿に釘付けになってしまった。 どの曲も一理の知っている曲にもかかわらずどうしてリョウが奏でると違って聞こえるのだろうか…… 一理の目からは、知らず知らずのうちに涙が溢れてきた。 何故なのか、一理にはまるで判らなかった。