ステージに立ったまま足が前に出ない。



由衣が、何で???



由衣の去って行く後ろ姿を追ったが、由衣を追うことも出来なかった。


結城が何か大声で叫んでる…



頭の中に再生ビデオを見てるみたいに先程のことが駆け巡った。



「一理っっっ!!」



誰かの声で、はっと、ようやく我に返った。



足を引きづるような…思いは近付きたいのに体が付いてこなかった。



心の中で何回も叫んでいた。


(いちりっ!いちりっっ!何でいちりがって…目を開けて!痛いですからぁ!って、言って…)



ようやく、一理の側に辿り着けた。


横たわり意識も無い一理がそこに居た。



頭からは、血が流れていた。



(何てことを…何でこんなことに…由衣が、何て酷いことを……)